偶然と記憶

仕事場には車で通勤しています。
田舎から田舎への通勤なので、特に変化のない毎日です。
 
たまたま普段通る所じゃない道を通り、たまたま入ったコンビニでふと顔をあげて入り口の方を見ると、作業着に身を包む1人の男。
その男はゆっくりと中に入ってきた。
 
顔を見ると、どこかで見た顔。
浮かんだのは1人の名前。高校1年のクラスメイト。
 
顔と名前一致させるのは比較的得意とはいえ我ながら良く覚えてるなと思うぐらい懐かしい名が、男の胸につけっぱなしのネームプレートに書いてあった。
 
ビンゴだ!
 
やつは多分、俺のことなんか覚えちゃいないだろう。
いまさら恨んじゃいないが、オレは忘れてはいない。
人が読んでる小説の節見出しを見て自慢げに先を言い放ち、初めて読む話の感動を未来永劫オレから奪った男の名を。
 
ネタバレ反対。
 
そんなことを色々思い馳せながらもう一度顔を見る。
んー、老けてる。ホントに同い年か?
 
話しかけはしなかったけど、ちょっとだけ変化のあった帰り道でした。